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心の回診

第一五七回

 日常生活の中で、私は笑顔を心がけています。特に職場、患者さんとそのご家族、パウロの各施設の利用者さん達には、いつも笑顔でと思いながら、言うは易くて、実際に行動・実行するのは難しいものです。鏡の中の私に向かって「ニコッ!!」と、笑ってみました。なんだか不自然で変。全然可愛くありません。心から笑う時、自然の笑いってどんな顔でしょう。鏡の前で百面相、こっそり練習をしました。そう言えば最近の私は、心から大きな声を出して笑っていませんでした。笑いを忘れた修子さんでした。震災から二年が過ぎても、石巻の被災地では、まだまだ復興が遅れたままの空き地が沢山あるようです。瓦礫が片づけられて、徐々に街並みが綺麗になればなるほど、被災された方達の心に出来た傷や、悲しみは消えていくように思われても、実はそうではないのです。現地の方達の心の傷、痛手は重く、当分消えることは難しいでしょう。ただ、笑顔が少しずつ戻ってきているようです。  
パウロ病院のボランティア隊が、先日、四回目のボランティア活動に赴き、職員はいい顔をして帰ってきました。報告を聞くと重い痛手を背負いながらも現地の人々には、日々、笑顔が戻ってきているといいます。それがボランティアの喜びにもなっています。出発する時の緊張した面持ちが、帰ってきたときは少しでも役に立てて現地に笑顔が戻るのを見ることも出来た 、それが嬉しいという本当に笑顔だったのです。ボランティア隊の笑顔を、ちょっぴり羨ましく思いました。  
本当の笑顔は「つくり笑い」や「愛想笑い」のような表面的な笑顔ではなく、その人の心の中と深く関わりがあるように思います。人間の本当の美しさ、醜さも同じで、外面的な容姿や見た目ではなく、心の底からにじみ出てくるものだと思います 。
ところで、私の笑顔は大丈夫でしょうか?いつも優しい笑顔でありたいと思います。